一番最初に好きになった作品はショパンの英雄ポロネーズです。演奏はアシュケナージ氏。他の方と異なる突っ走るような演奏が大好きなのです。英雄ポロネーズを好きになってから、クラシック音楽沼に片足を突っ込むことになります。
冒頭から繰り出される堂々とした主題、リズムの骨格となる左手のオクターブ連打は、荘厳な雰囲気を生み出します。ポーランドの誇りや精神を感じざるを得ないでしょう。当然初めて聴くショパンの作品であり、ショパンの顔すら知りませんでした。生前の爽やかイケメンで病弱であったこととは逆に、おそらく強面や濃くて目力が強い顔なんだろうな、と英雄ポロネーズを聴いて想像しました。
左手の跳躍オクターブや右手の速いパッセージ、トリルなど、超絶技巧が詰まっており、演奏者にとっては挑戦的。ただの技巧披露ではなく、内面の情熱や民族的な誇りが音に乗って流れてくるような感覚があります。
ショパンはポーランド出身で、祖国がロシア帝国の支配下にあることに深く心を痛めていました。この作品に限らず、ショパンの作品は自由を求める強い精神や抵抗の意志が込められていると解釈されることが多く、「英雄」という名前もそうした文脈で語られます。主題の堂々たる提示から、静かな中間部、そして再び盛り上がるクライマックスへと、感情の起伏に富んだ展開が聴きどころです。
そこで私はある疑問を抱きました。途中にギターが聴こえるところがあるのです。それが中間部冒頭の両手の分散和音です。実際は当然ピアノの鍵盤の音なのですが、小学校を卒業するまでその部分だけギターで弾いていると思っていました。是非皆さんもギターだと思って聴いてみてください。

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